神奈川男子の私立中学、男子御三家と言われている浅野中学、栄光学園中学、聖光学院中学。
2023年度 神奈川男子御三家【浅野,栄光,聖光学院】入試分析のYoutubeです。
この3校の算数の問題は動画の中でも触れていますが、それぞれ特色があります。
浅野は数学色のある問題を出します。
栄光は実は灘中よりも日本一難しいのではないかと思うような、典型問題では見ない思考力を問う問題を出します。
聖光学院は非常にオーソドックスで典型問題をベースにした問題ですが、算数の力の有無を見分けられるような問題構成になっています。
動画の中で、聖光学院のニュートン算に触れられています。
また中数5月号で聖光学院のこの問題に関して、【1】の小問群の中の危険な小問。とコメントされていて難問とされています。
今回はこのニュートン算を紹介します。
この問題のポイントをきちんと押さえられたら小問の位置づけであるようにほぼ瞬殺可能な問題です。
2023聖光学院中第1回問1(3)
この問題はニュートン算のように見えますが、実はニュートン算を題材とした数の問題です。
そこを見抜けたら瞬殺問題でした。
問題
あるサッカースタジアムには手荷物検査の窓口が5か所あり、そのうちのいくつかをあけてそれぞれ2分で1人ずつの検査を完了させてスタジアム内に観客を入場させることができます。また、窓口の前には11分ごとに[ア]人を乗せたバスが到着して検査待ちの列に全員並びます。ある日、午後2時の手荷物検査開始時に、この瞬間に到着したバスから降りた観客を含めて100人が列に並んでいましたが、5か所の窓口のうち[イ]か所をあけて対応したところ、検査待ちの人や検査中の人がはじめていなくなったのが午後3時14分でした。
(聖光学院2023第1回)
このとき、[ア]、[イ]にあてはまる整数の組を、([ア],[イ]) のかたちですべて答えなさい。
ニュートン算の考え方のポイント
ニュートン算の典型問題としてはこの問題のように窓口、牧草、水槽を題材としています。
考える時には入ってくる量と出ていく量の2つの量の変化を考えなければいけないという点がポイントです。
考え方
毎分11人の割合で窓口に人が並ぶのではなく、バスが到着する11分ごとに[ア]人が窓口に並ぶということです。
したがって午後2時から午後3時14分までの74分間に窓口に並ぶ人数の合計は100+[ア]×6です。
2分で1人ずつの検査を完了させるのだから、検査は37回行われるので37×[イ]だけさばくことになる。
ただし、37回目は全ての窓口でさばくとはかぎらないので、
37×[イ]≧100+[ア]×6≧36×[イ]+1
を満たす[ア][イ]を求めればいい。
[イ]が1や2だと100より小さいから該当せず。
[イ]が3だと満たす[ア]がない。
([ア]、[イ])=(8,4)(14,5)とすぐにわかりました。
これだとニュートン算で応用できないので、ニュートン算の有名問題である2011年開成中のニュートン算を紹介します。
2011年開成中のニュートン算
西山動物園では開門前に長い行列が出来ていて、さらに一定の割合で入園希望者が行列に加わっていきます。開門と同時に券売機を5台つかうと20分で行列がなくなり、開門と同時に券売機を6台使うと15分で行列がなくなります。また、もし開門の時の行列の人数が50人少なかったとすると、開門と同時に券売機を7台使えば10分で行列がなくなります。
(1)開門のとき、行列の人数は?
(2)開門と同時に券売機を10人使うと何分で行列がなくなりますか?
実は、昔このニュートン算の5つの解き方をブログで書いています。
詳しくはそちらを参照ください。
受験算数で押さえるべきポイントは
数の性質、基本図形の性質、比例・反比例の考え方
といってもいいと思います。
比例、反比例は数学の関数につながる考え方なので実はとても大切な考え方なのです。
5つの解法
さいごに
ニュートン算は文章題の単元では最後の砦と言われています。
昔はニュートン算は難問の部類でしたが、今では塾での対策により標準問題となっています。
出る量と入る量をどのようにとらえて考えるか。
聖光学院の問題は出る量と入る量が等しくなることを使っています。