遊びたい盛りの時期に、大変だった受験勉強を経て晴れて中高一貫校へ進むお子さんをお持ちの保護者かの方、おめでとうございます。
来週には関東では桜が開花するなんて話も聞かれますが、いよいよ新年度が始まりますね。
この3月の時期は新しく始まる中学生活に向けて数学や英語の先取り学習をお子さんにさせなきゃと思っている方も多いのでは?
私個人的には、本人がやりたければやればいいし、やりたくなければ学校が始まってからやればいいと思っています。
今回は、そんな新1年生が数学をこれから勉強を進めていくにあたって気を付けるべきポイント3つとおすすめの参考書を紹介します。
中高一貫校の数学の進め方について
中高一貫校といっても、学校の入試難易度からわかるように母集団のレベルによって理解度はさまざまです。
公立中学であれば中学数学を3年間かけて勉強をします。
ご存じのように中学受験で扱う算数は学校の算数と違い、すでに中学で勉強する内容を半分ぐらい網羅しています。
したがって灘中学のように中学1年間で勉強する学校もあれば、だいたいの中高一貫校は中学2年間で中学数学を勉強してからその流れで高校数学へ入っていくカリキュラムが一般的のようです。
算数と数学の違いって
算数と数学はどちらも“かず”や“かたち”を扱う教科ですが、その目的に違いがあります。
算数は日常生活で必要となる計算で正確な答えを出すことが目的ですが、数学は負の数や平方根など、日常生活では目にしない抽象的なものを使って「なぜそうなるのか」を理解し、あらわしていく教科です。
算数では正しい答え、数学では答えまでの過程を重要視する。
このように算数と数学では考え方に違いがあるのです。
算数と数学の違い①:算数とは?
算数は、たし算、ひき算、かけ算、わり算を使った基本的な計算方法や、図形の面積や体積の意味や求め方を学ぶ教科です。
普段、生活をする際に必要となる計算力が必要で、「答えを正しく求める」ことが重要な教科です。
例えば、「おこづかいで○○円のおやつを買ったら、残りはいくらになりますか?」というようなお金の計算や、「3時の90分後は、何時でしょうか?」というような時間の計算は、日常の生活でよく使う計算力を問われている問題です。
算数が苦手な人がこの春休みにすることは見直しをする癖をつけておくことです!
算数が苦手の人の特徴で多いのが、計算ミス。
算数の計算力は数学の基礎になる部分です。
小学校のうちに「見直し」をする習慣をつけておくことで、数学の複雑な計算の強い味方になるでしょう。
算数と数学の違い②:数学とは?
数学はその数がどのような意味を持っているのか、世の中の現象について数を使ってどう表わすのかを学ぶ教科です。
「なんでそうなるんだろう?」という答えに至るまでの考え方が重要で、”論理の正確性”が求められる教科ともいえます。
数学の公式は暗記ではだめ!
中学生の数学では、XやYなどの記号が文字式として登場し、それを図にするなど抽象的な内容を扱っていきます。
イメージがしにくい分、難しく感じる人も増えてしまいます。
また、たくさんの公式も登場し公式を覚えることも多くなります。
しかし、公式の意味を理解しないまま丸暗記してしまうと、応用が利かなくなり、点数に結びつかなくなってしまいます。
数学を苦手にしないためには、次々に出てくる公式を「なんとなく理解している」状態で放っておかずに、公式ができた過程を1つひとつをきちんと理解することが重要です。
一番いい勉強は、自分で公式を導き出せるようになることです。
数学を勉強する上で気を付けるべきポイント3つ
正の数、負の数の概念の理解と正確な計算力をつける
算数では0と正の数の概念しか扱ってきませんでしたが、中学数学で「負の数(マイナス)」の概念を正式にまず学びますが、概念自体はすぐに理解できると思います。
その次に出てくる負の数を扱った計算で計算のルールを覚えることで終わらせないでください。
よくある問題ですが、(ー1)×(ー2)=2のように
(マイナス)に(マイナス)をかけたらなぜ(プラス)になるのかを説明できるまで理解をしましょうということです。
これ説明できますか?
計算のルールを覚えているだけでは説明はできません。
いろいろな説明の仕方があると思います。
中学受験でさんざんやった水槽に水を入れる問題を使って、水を入れるのはプラス、底から排出するとマイナスと見て、2分後、2分前の水量で考えるという説明もあります。
1の大きさでマイナスの方向へ進んでいる時の2つ分前は(+2)の位置にいます。つまりバックしているわけです。高校で習うベクトルの考え方ですね。(ベクトルは履修単元から外れるとか聞きましたが。。。)
また、数Ⅲの「極座標」という考え方を使っても説明ができます。
このようにいろいろな単元は相互に関係しあっていて、単元学習を深めていくと説明するアプローチの幅が広がるということが勉強を進める楽しみにもなるはずです。
関数の理解を深める
算数では、「比例」「反比例」という概念を習いましたが「関数」という概念は扱っていません。
「比例」は1次関数、「反比例」は分数関数(ー1次なので高校の範囲)なんですね。
中学で1次関数、2次関数を扱い、高校で3次関数以降のn次関数や分数関数へとさらに扱う範囲が広がっていきます。
まずは「関数」とは何?をきちんと理解しましょう。
そうすると文章問題で方程式を立てることは関数の勉強をしていることとつながっていくことが理解できるはずです。
算数では線分図や面積図で解いていたものを、xyの関数に落とし込むことで座標グラフで解くという新しいアプローチもできるようになります。
これも方程式と関数のつながりですね。
証明問題の作法
算数ではやらなかったこと、それは証明問題です。
証明問題の書き方には作法があります。まずその作法を身につけましょう。
そうすると、高校数学に入れば論理の単元で「直接法」「対偶法」「背理法」「演繹法」「帰納法」というような考え方に入っていったときにスムーズに入っていけるでしょう。
数学はもともと「哲学」の学問分野でもあったことから「考え方」という観点からすると論理の勉強はものすごく大事です。
無意識のうちによく使う「三段論法」なんかもそうですね。
まずは証明の作法をしっかり身につけましょう。
おすすめ参考書
体系数学シリーズ
体系数学シリーズはチャート式で有名な数研出版が中高6ヵ年の内容を学習指導要領にとらわれない体系的な配列で再編成した数学教材です。
全国の中高一貫校を中心に広く利用されています。
ラインアップは「代数」と「幾何」に分かれていて、テキスト、参考書、問題集、ガイドの4種類あります。
お子さんの学校でも検定教科書とは別に授業を進める教材として使っているかもしれませんね。
なかなか紙面だけでの理解がむずかしいのであれば、スタサプとの併用もおすすめです。
月額1,980円~ですし、14日間無料体験もできます。
チャート式、ハイレベル中学数学問題集
こちらも数研出版の「ハイレベル中学数学問題集」です。
体系数学でひと通り中学数学を勉強を終えたらこの問題集で総仕上げをするのもいいと思います。
2011年~2013年の高校入試問題から頻出問題を精選しており、「標準」「発展」「難関」の3コースで1回5問の実践形式で50回分計250問が掲載されています。
問題が古いのが難点ですが、この1冊で総仕上げができるという点ではいい教材だと思います。
東京出版、高校への数学
言わずと知れた東京出版の「高校への数学」です。
チャート式、ハイレベル中学数学問題集と違い、新しい問題をベースに毎月学習を深めていける教材としてはおすすめです。
私は中学1年の間に独学で中学数学を勉強し、1年生の2月にこの雑誌に出会いました。以降数学はもっぱらこの雑誌のみで勉強してました。
そして「学コン」にチャレンジしていくことで数学力を高めることができました。
「大学への数学」への橋渡し的な位置づけですね。
まとめ
算数と数学の大きな違いは、
「答えを正しく求める」ことが重要な教科から、「なんでそうなるんだろう?」という答えに至るまでの考え方が重要な教科への転換です。
算数のテストのように正しい答えが出せればいいから、正しい答えを出すのは当然としてその過程の論理の正しさ、緻密さをどこまで追い求めるかという勉強の仕方に転換していく必要があります。
そうしないと、中3ぐらいから高校数学の単元に入っていくとさらに抽象度が増すので苦労することになります。
春休みのうちに先取り学習で進めることもいいのですが、まずは
(マイナス)に(マイナス)をかけたらなぜ(プラス)になるのかを説明できる
ことから始めてはいかがでしょうか?