2020年産業医科大の場合の数の問題です。
中学入試、高校入試でも十分解ける問題です。
学びのある問題なので数学を使った考え方と算数での解き方を紹介します。
問題
100 円,50 円,10 円の硬貨がそれぞれたくさんあるとします。ある品物を買うのに3000 円かかるとき、このお金による支払い方の総数は何通りありますか?
数学の解き方
100 円,50 円,10 円硬貨の使用枚数をそれぞれ x, y, z とすると
100x + 50y + 10z = 3000 ∴ 10x + 5y + z = 300 ……①
① をみたす負でない整数 x, y, z の組の個数を求めればよい.
5y + z = 10(30 − x) ≧ 0 より 0 ≦ x ≦ 30
z = 10(30 − x) − 5y ≧ 0 より 0 ≦ y ≦ 2(30 − x)
これらをみたす x, y の組に対し,⃝1 をみたす z がただ 1 つ定まるから,
支払い方の総数はxを0~30とし、∑{2(30 − x) + 1} =(61 − 2x)= 61 · 31 − 30 · 31=31×31=961
算数の解き方
100 円,50 円,10 円硬貨の使用枚数をそれぞれ x, y, z とすると
100x + 50y + 10z = 3000 ∴ 10x + 5y + z = 300 ……①
① をみたす負でない整数 x, y, z の組の個数を求めればよい.
ここで 5y + z =0のときzはz=0の1通り、5y + z =10のときz=0,5,10の3通り
5y + z =20のときz=0,5,10,15,20の5通りとなり奇数通りずつ増えていく。
5y + z =300のときはzは31番目の奇数になることが言える。
ここで奇数の和は足した奇数の個数の2乗になることが言えるので31×31=961個とわかる。・・・答え
算数の問題の解き方のポイント
数学ではx,yの範囲をそれぞれ求めてx,yがきまればそれに対応するzが1つ決まるという考え方をベースに考えています。
算数の考え方も同様に、5y + zの値を考えた時にzの値を決めればy、xもそれぞれ1つに決まるのでzの値が何通りあるかを考えればいいという考え方に基づいています。
また奇数の和は足した奇数の個数の2乗になるというのは、
この考え方は中学受験では基本事項です。
これを知っていれば等差数列の和を考えることなく解くことができます。
さいごに
もしこの問題の通り、3000円を10円玉300枚で支払いをしようとしたら、お店は支払いを拒否できます。
「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」7条に、
「貨幣は、額面価格の20倍までを限り、法貨として通用する」と書かれているからです。
貨幣とはいわゆる硬貨のことで一度に利用できる硬貨は各種類20枚までということです。
これは多量の硬貨で支払われた場合、計算や保管に手間がかかってしまうためだそうです。
店の了解が得られた場合は、受け取ってもらえますがお互いの間違いを避けるためにも、硬貨は多く出しすぎないようにということでしょうか。
この問題、厳密に法律に照らしたら、使える硬貨は20枚までという条件をつけないといけませんね。
最近は両替も手数料がかかりますから、お賽銭も電子化の流れが来ていると聞きますし。