先日、ブルーバックスの中学数学で解く大学入試問題 を紹介しました。
今回はその続編です。
中学高校入試の算数数学と大学入試の数学の違い
中学高校入試の算数数学と大学入試の数学の違いは、
難易度や問題の抽象度の他になんといっても問題1問にかけられる時間が前者は圧倒的に短いという点です。
逆に言えば大学入試の問題は解答にいたるまでのプロセスが長いです。
中学入試の模試や過去問を見るとだいたい50分や60分で小問を含めて15問〜25問くらいです。
1問につき2分〜4分程度で片付けていく正確性とスピードが要求されます。
だから完璧という水準とは
問題を見たら5秒以内に解法が思い浮かんで、30秒以上手が止まることなく解答に向けて最後まで手を動かし続けられる状態
だと思います。
そのレベルで連続でこなせることが入試問題では求められます。
ただ全問正解を目指さなくともこの意識は必要です。
大学入試数学の場合
では大学入試だと1問に時間をかけられるから楽かと言えば、難関校になればなるほど何からすればいいか見た目だけでは分からない問題も多いので、結局は問題の問われている本質を見抜く力を鍛えることには変わりないです。
これは「ある大学入試問題」を小学生用にアレンジしたものです。
ほぼそのままです。
灘中の1日目や難関校の小問に出してもいいレベルです。
力のあるお子さんはチャレンジしてみてください。
問題
3以上9999以下のある偶数aとそれに続く奇数bがあります。a×bが10000の倍数になる時の奇数bを全て求めなさい。
倍数とは?の意味をどれだけ理解できているかがわかればあとは場合分けの問題に早変わりです。
解説
まず問題文から以下のことが分かります。
- ①偶数a,奇数bは連続整数
- ②a<b
- ③aとbは互いに素の関係
a×bが10000の倍数ということから10000を因数分解すると10000=2^4×5^4
a,bが互いに素かつ偶数と奇数からaは16の倍数、bは625の倍数とわかります。
高校数学を使うなら、ここで625mー16n=1を満たすmとnをユークリッドの互除法を使って求めるのでしょう。
ここでは算数的に考えてみます。
a=16p、b=625qとします。(0<p<625, 0<q<15)
qが0<q<15なので1~15まで計算してa,bが連続する整数になるp,qを求めれば答えは出せます。
少しだけ工夫をして、bは625の倍数なので1を引いた624,1249,1874を16で割ります。
すると余りが0,1,2,3,・・・となるのであまりが0から15までの16周期であることがわかります。
(理屈を考えれば当たり前の事実です。)
したがってaの候補は624,10624(=625×17-1)、・・・
aは9999以下の数なので(a,b)=(624,625)のみとわかります。
参考にした問題
ちなみにこれは2005年の東大入試文系第2問です。
最後に
今回は、ブルーバックスの中学数学で解く大学入試問題 を紹介した続編の記事を書きました。
こちらの記事に書いているように、理系数学は微積の数Ⅲが中心になりますが、文系数学であれば使えるテクニック(ベクトルや関数、数列)が増えるだけで、基本に立ち返れば受験算数や中学数学で解ける問題もあります。
文系で高校数学が苦手なんだけど、数学を受験で使う必要があるお子さんは、高校数学ができないのでなくその前の段階の中学数学の基礎がぐらついている場合も往々にしてあります。
受験算数や中学数学を徹底して復習したうえで、色々な解法で解けるようになるため高校数学もその延長線上で勉強するという方法も回り道のようにも見えますが、急がば回れで試してみてはどうでしょうか。
そこで、受験算数や中学数学をどのように復習したらいいのかを知る方法が
中学数学で解く大学入試問題 に書いてあります。
ぜひ参考にしてみてください。