ドル円140円台後半。円全面安、 米物価は上振れ。
アメリカでは債務上限問題のリミットが迫っているのにこの2週間ほどでかなり円安が加速しています。
鈴木俊一財務相は26日の閣議後記者会見で、円相場が一時1ドル=140円台に下落したことについて「今後とも市場の動向をしっかり見ていく」と述べたように、昨年のけん制発言、3者会談、円買い介入の地点に近づいてきました。
コロナが落ち着き円安が後押しして海外から日本への観光客が増えてきています。
最近のドル円の動向とその理由についてIMM通貨先物ポジションのデータを使って紹介します。
最近のドル円相場の動向
2022年10月に約152円/ドルを高値として日銀介入により2023年1月には127円/ドルまで円高が進みました。
その後また円安局面に戻り136円、一時期130円まで戻り、今の140円まで来ました。
これは5月26日の1日の動きです。
最近は東京市場で円高、ヨーロッパに入って円安が進むという流れが続いています。
通貨の強弱関係
これを見ると、ポンド、ユーロ、ドルが強くて円が圧倒的に弱いんですね。
だから円安が進んでいます。
IMM通貨先物ポジション
「IMM通貨先物ポジション」とは、米国のシカゴマーカンタイル取引所(CME)に上場している「IMM通貨先物」のポジション動向のことです。
為替市場の参加者の間で特に注目されるのが、「Non-Commercial」と呼ばれる投機筋(非商業部門)の数値です。
買い越しポジションが大きくなりすぎれば相場が下落、売り越しポジションが大きくなりすぎれば相場が上昇する可能性が高まっているなどと考えられます。
ただし、原則として火曜日の取引終了時点の数値が金曜日の取引終了後に発表されるので、情報の遅れを考慮する必要があります。
ドル円
上の表を見ると、152円の頃とLongの量とShortの量の差が近づいてきています。
このままいくと152円まで行く可能性も否定できません。
ユーロ円
同様にユーロ円です。
ユーロの買いの量はほとんど変わらず、売りの量の増減でユーロドルのレートが変化しています。
ユーロの買いは限界にきているのでしょうね。
米債務上限引き上げ、大統領と下院議長が大筋合意
「米政府の債務(借金)上限の引き上げ問題で、バイデン米政権と共和党が27日、上限の引き上げで大筋合意に達した。」
と報道がありました。
6月5日にも迫る米史上初の債務不履行の回避に向け、今後は米議会による手続きに焦点は移ります。
この報道を受けて、ドル円は金曜日の終値の140円半ばから141円を一時期超えたようです。
FX市場が閉まっていても換金目的の取引は行われているため休日の為替レートが確認できるのです。
土日でも中東ではFX市場が開催しているため中東のFX市場になぞらえて中東レートなどとも呼ばれます。
月曜日の朝は141円から開始か?
まとめ
米国の債務上限問題があるにもかかわらずここ最近のドルの強さは続いています。
リミットが6/1から6/5へ少し伸びたようですが、デフォルトは恐らくないだろうという楽観論であまり問題になっていまいのでしょう。
毎度毎度、交渉期限ギリギリまで妥結せず、米国債のデフォルト(債務不履行)寸前になってようやく交渉がまとまることから、一部では「債務上限プロレス」等と言われています。
6/2の雇用統計次第で金利の引き上げがあるのではないかという観測も出てきましたし。
日銀はYCCの変更をちらつかせていますが金融緩和継続方針に変わりはないので通貨は弱いままです。
このままだとアメリカの要因で円安が加速し、また政府の口先介入から始まり、実際の介入という流れも可能性が出てきました。
今度は往復びんたをくらわないようにしておきたいものです。