Life&laugh work ~ 笑いと潤いのあるライフワークを

高校生のための数学イベント~第42回数理の翼夏季セミナーの紹介

東京出版の「大学への数学」3月号に高校生のための数学イベントの記事が3つ紹介されています。

私が高校1年生の時に初めて日本が数学オリンピックに参加することになり、予選会に参加しました。

今は算数オリンピックを始めとして小学生の時期から、算数・数学を楽しめる企画がたくさんあってうらやましい限りです。

上記3つの企画の中で私は「数理の翼夏季セミナー」に高校2年生の時に参加したことがあります。

あれから30年経過しても継続されているイベントです。

2023年8月に「第43回数理の翼夏季セミナー」の開催が予定されているのでその案内も含めて紹介します。

スポンサーリンク
目次

第42回数理の翼夏季セミナー

数理の翼夏季セミナーってどんなセミナー?

大学への数学より

「大学への数学」では2ページにわたってセミナーのことが紹介されています。

数理の翼夏季セミナーは、主として数理科学に強い関心を持つ高校生を対象とした1週間程度の合宿形式のセミナーです。1980年に数学者の広中平祐氏がセミナーを創設してから、毎年夏に開催されています。

広中先生は、今ではかなりメジャーとなった「算数オリンピック」や「広中杯」を主宰されている先生です。

第42回数理の翼夏季セミナーは、広島県近郊にて2022年8月7日から11日にかけて開催されました。高校生参加者15名と大学生・大学院生・社会人のスタッフ9名が参加し、講師の先生方をお迎えして貴重な時間を分かち合う機会になったそうです。

このセミナーは、数理科学に優れた素質と強い関心を持つ若者たちに、可能な限り経済的負担をかけずにその志を高めてもらうことを願い、参加費(食事、宿泊費などを含む)を無料として、交通費の大部分を主催者の特定非営利活動法人数理の翼が負担しています。

これらを含め、セミナー実施のための費用は、当法人の活動に賛同いただいている個人・法人からの寄付金、助成金などにより賄われています。

私も毎年、少額ですが寄付させていただいています。

講義内容

代数幾何学、統計物理学、宇宙論、超分子化学、生化学、医学、地震学、など普段高校で学んでいることをもっと深めていった分野や、あるいは高校ではあまりなじみのない角度から研究されている分野などで、世界の最先端を行く研究をなさっている7名の講師の先生に講義をしていただいたそうです。

海外から先生をお招きする場合もあり、その場合は英語での講義になります。

過去セミナーに参加してその後研究者となり、講師としてセミナーに再び参加される先生も珍しくありません。

私が参加した時には、トポロジー(「位相幾何学」)という講義があり、初めてそんな分野があることを知りました。トポロジーを簡単に言えば、新しい図形の見方です。AIの画像認識の技術に大きく貢献している分野なのです。

イメージとしては、コーヒーカップとドーナツのように全く違って見える図形同士でも「同じ」と拡大解釈し、図形を抽象化する考え方です。

またこのトポロジーはものとものとの「繋がり」も抽象化し、「繋がり」における本質をモデル化するトポロジーの視点は、AI技術の主戦場の1つであるインターネット、SNS、口コミといったネットワーク全般について多くの知見を与えてくれるものなのです。

当時、この分野を理解できた同級生がすごいと思いましたが何に役に立つのかよくわかりませんでした。

今になって細かい技術は分かりませんが、何に役立つのかが理解できるようになりました。

参加者発表

「参加者発表」はその名の通り参加者である高校生の皆さんがプレゼンテーションをするプログラムです。

日頃興味を持っていることや、研究した成果について参加者がプレゼンテーションをします。

私が参加した時には、ドラえもんのタケコプターは実現可能かどうかを物理的に検証した人や折り紙をつかって数学的に検証したりする人がいました。

実験企画

今回は、実験要素を盛り込んだ企画として、「ピンポンフォール」を行いました。

これは紙と接着剤のみを使って構造を組み立て、その上を転がっていくピンポン玉が机に到着するまでの時間を競うもので、到着までの時間がより長い方が勝ちとなります。

初めはどの班も試作用の紙を使ってアイデアを練りましたが、効果的なアイデアを出すのが難しく議論が難航したそうです。

しかし、実物を触りながら試行錯誤するうちに話し合いが進み、素晴らしいアイデアを出しながら最終的にはどの班も素晴らしい作品を完成させることができたそうです。

夜ゼミ

毎晩夕食後の時間には、数理の翼夏季セミナーの目玉企画のひとつである、恒例の「夜ゼミ」が数多く開かれます。

「夜ゼミ」とは、参加者同士が自由に話題を持ち寄り小さなホワイトボードを囲んで行うゼミのことです。

普段の高校生活では中々できない数理科学の話を存分にできる場であり、自分の学びたいことをピンポイントに学べる場です。

これには大学生・講師の先生方も混ざり、昼間の講義・参加者発表の話や、高度な内容について議論を交わし、今回も盛り上がるグループが多く見られたそうです。

私の時も毎晩、夜中まで体力が尽きるまで行われていました。

部屋に戻ってテレビを見るなんて時間がもったいないという感覚でした。

第43回数理の翼夏季セミナー申し込み方法

詳しくは数理の翼webサイトをご覧ください。

開催概要

応募締め切り

2023年5月29日(月)22:00 送信分まで

応募の際の作文項目

応募フォームには、以下の作文項目があります。下記の説明を参考にして準備してください。

応募動機 (200字以上600字以内)

数理の翼夏季セミナーに参加しようと思ったきっかけや参加にかける熱意などをお書きください。

自己PR (200字以上600字以内)

自分の誇れる点や長所、取り組んだことのある数理科学に関する活動などをお書きください。

他の参加者と話したいトピック (200字以上600字以内)

セミナー期間中に周囲の参加者と話したいことや、一緒に議論したいことなどをお書きください。

あなたが数学や科学の領域で興味深く感じる話題 (字数制限なし)

あなたが学問的に興味深いと思う話題を記入し、理由を説明してください。字数制限はありません。画像を使いたい場合は、10MB以下のファイルをアップロードすることができます。

詳しくは数理の翼webサイトをご覧ください。

私が参加した時の体験談

申込みをしたきっかけ

中学に入って数学が好きになりました。

広中先生の「生きること学ぶこと」という本の一部が国語の教科書に載っていたことで広中先生を知りました。

当時は、その本を買って全部読んだことで将来は理学部に進みたいななんて漠然と思ってました。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

生きること学ぶこと (集英社文庫) [ 広中平祐 ]
価格:726円(税込、送料無料) (2023/3/12時点)


高校2年生の5月ぐらいのことです。

学校の掲示板になぜかこのセミナー参加の募集ポスターが貼ってあったのを見つけました。

憧れの広中先生に会える!

それも費用は無料で、約1週間、温泉の町、湯布院で数学漬けの生活ができるなんていいな!

というだけで申し込みをしました。

参加者がどんなレベルかなんて考えもしないで。

一応、審査のために何か提出したはずですが、何を書いたか覚えてません。

参加通知が来た時には、両親の田舎が鹿児島なのでセミナーの後に宮崎周りで帰省して、ぐるっと九州を一周しようかななんて思ったぐらいでした。

参加した感想

当時は、高校生は各県1名程度、あと大学生も数名ということで総勢70名ぐらいが一堂に会しました。

開成や灘高といったいわゆる有名校の高校生や東大生、京大生と初めて接した時でした。

中には、数学オリンピックのメダリストがいたり、大学への数学の学コンの常連がいたりと、もう場違いなところに来たなというのが第一印象でした。まさに「井の中の蛙」状態。

本当に数学や物理が好きな高校生は、学校の勉強では物足りなくて大学の内容を勉強しているんだという現実を目の当たりにしたのもこの時です。

とはいっても、数理科学が好きで集まったメンバーなので、わからないことばかりでしたが、丁寧に教えてもらったりしてそれはもう刺激的な毎日でした。

夜ゼミでは毎晩夜中まで起きて議論し、セミナーハウスには露天風呂があったので満天の星空を見ながら夜中に風呂に入ったり、高校生にしてはぜいたくな1週間でした。私の温泉好きはそこから始まりました。

途中、みんなで由布岳にハイキングに行ったり最終日の前日の夜にはキャンプファイヤーもしたなあ。

高校2年生の時は参加者でしたが、大学では企画運営スタッフとして参加し、社会人になってからは1度だけ講師として参加し、これまでに計3回参加したことがあります。

まとめ

広島の田舎の高校生が、全国レベルというのを思い知らされた機会でした。

私の時は講師で朝日新聞社の方が来られていて、その方の話は今でも覚えています。

文系理系の区分けはナンセンスだ。これからの時代は、文理融合の考え方が求められていく時代になる。

学校の勉強の科目は正直狭い分野だけれども、どの科目もお互いに何らかの形で関係する。

だから色々なことに興味を持って勉強してほしい。

この話は、勉強をするときには必ずつながりを意識するきっかけとなりました。

どこかにつながりがあるはずで算数で数学の大学入試問題を解けないかと考えることもその1つなのです。

ぜひ興味のあるお子さんは、まず申し込みをしてみてはいかがでしょうか?

Follow me!

目次