東進から新大学入試世代のための説明会の案内をもらっていたので(当の本人は全く塾で勉強する意思はありませんが一応私が情報収集のため)買い物がてら説明を聞きに行ってきました。
子供たちは留守番という鬼の居ぬ間の洗濯タイム、奥さんはショッピングセンターで買い物です。
新高1、高2と思しき親子や自ら希望して説明会を聞きに来ている学生など30名近くが来ていました。
大きなターミナル駅の校舎でないのに関心度の高さがうかがえます。
自分の中学受験の時代と今の中学受験が全然違うのと同じで、自分の大学受験の頃と今の大学受験は時代のニーズにより求められる力が全く違っていることを感じました。
昔の自分は
”英語の勉強はどうせこのまま勉強したってしゃべれるようになるわけでもないし、テストのため、入試のため”
なんて思っていましたが、今はそうは言っていられないようです。
私自身が英語公用語化で30代半ばにして、TOEIC800点突破&会話ができるレベルまで勉強した、
あの実用的に使えるようになるレベルになるまでの勉強が求められているように感じました。
説明会で聞いた内容をかいつまんで紹介します。
新高2生から共通テストが変わる新しい時代へ
これからの時代はすさまじい速さでさらに大きく世界は変化しています。
AIをはじめ最新技術が大きく変化し、知識を活用して想像・創造する新たな挑戦をやり抜く学生が求められます。
ちょうど新高2生の時に2021年度入試から導入された「共通テスト」がさらに変わります。
テーマは「探求」。
こちらのブログ「現高一生必見!令和7年度大学入学共通テストの問題作成方針&情報科目の発表」に書いているように試作問題が発表されています。⇒令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等
英語
5人の登場人物の意見を照らし合わせる問題が出題されています。
5人のうち反対の意見の2人を見抜くことが求められます。
国語
現代文2問、古文漢文1問ずつの4問構成から、実用的な文章の問題が追加され、大問5問構成へ変更。
制限時間は大問1つ追加にも関わらず80分から90分へ10分だけの追加です。
受験生の負担感が増す問題構成になるそうです。
目的としては、異なる形式(文章と図)の情報を突き合わせて、差異を確認させる。
合わせて従来もそうであったように問題を如何に高速で解くことができるかという、さらに高いレベルでの訓練度が求められるようです。
超・上位を除くと理系の学生の方が現代文は高得点という結果に!
面白い事例を紹介してくれました。
東進で現役大学生に現代文の試作問題を解いてもらったところ、
文系の生徒が理系に比べて苦戦するという逆転現象が起きた!
・共通テスト(90点台(超・上位者)⇒試作問題:全体平均70点、文系>理系(10点の差)
・共通テスト(70~80点台(上位者)⇒試作問題:全体平均68点、理系>文系(14点の差)
本来、現代文なら文系が得意なはずですが、理系が逆転しそれも14点も差が出たそうです。
今まで求められてきた国語の読解力とは違う読解力を問う問題になっているので理系の方が解きやすいと感じた感想が多かったそうです。
文章や資料を読み取る際に論理的に情報を整理する力が問われているので理系に有利なのかもしれませんね。
新科目「情報」の登場
新科目「情報」ではコンピュータとプログラムに関連する問題が出題されています。
- 問1:論理回路・真理値表
- 問2:待ち行列のシミュレーション
- 問3:プログラミング
これ数学ですよ。「待ち行列」なんて算数でいう「ニュートン算」です。
コードの穴埋め問題まであるので、プログラミングそのものです。
身の回りのことを題材にした問題で、「問題解決」の力を問うています。
ほぼ全ての国公立大学が「情報Ⅰ」を試験科目に採用すると宣言したそうです。
新テストではプログラミング対策が合格のカギを握っていると言われているようです。
国公立大学・私立大学の入試問題
ここまで見てきた「新共通テスト」は大学入試の予選にすぎません。
この後に個々の大学で入試が行われるのです。
数学
東大理系の2022年度と2023年度の微積の問題を例に取り上げていました。
2022年問5は動くものが多いので、何かを固定したり、ある平面で切ったりして、状況をシンプルにしてから考える必要がありました。
線分 AB は平面上にあり、z=ーx+2(0≦x≦1)で表してまず平面で考え、そのあとKをz=z0で切って時の断面を考えるというプロセスを踏む必要があります。かなり難しい問題です。
2023年問6は上面が解放された立方体の中心に一端が固定され、長さが一定の値以下の線分および折れ線の端点が動き得る範囲を検討しその範囲の体積を求める問題でした。6問中一番難しい問題でした。
高校の教科書や通常の参考書には出てこない、立体を切り口から見ていく発展問題とか、立体を平面的に考える柔軟な思考力が問われた問題が出題されるのです。
こうした回転体、求積問題は頻出ですが微積では最後の方で習います。
中高一貫校では微積は高2で習いますが、高校入学組は高3で習い、学校の履修ペースだと間に合いません。
でも大学側はそんなことは知ったことではない、微積は大学に入ってからの研究で必要な道具ということで容赦なく出題してきます。だから後にも話に上がりますが、入試に間に合うように「先取り学習」が必要になってきます。
英語
2023年度の早稲田の英語でゼレンスキー大統領の議会演説が出題されています。
少し単語帳には出てこない単語はありますが、わりと構文は分かりやす文章でした。
暗記型のテストから、自分の意見をもって伝えられる型のテストへの転換。
英検の英作文問題のように読めるから書けるようになることを測るテストへの転換。
ちなみに2023年度の早稲田・慶応の英語長文のテーマは以下だったそうです。
- ジェンダーフリートイレを設置するメリットについて述べた記事
- 労働者の賃金格差を是正する試みに関する論説
- 環境保護のために食肉の消費量を削減するための方法について論じた文章
- ゼレンスキー大統領の演説がもたらした効果に関する記事
- 選挙制度の問題点を改革するためのマジョリティジャッジメントについて述べた論説
- 受験生のマルチタスクが生徒の学習に及ぼす影響に関する論説
- 環境汚染と社会的費用の負担最小化に関する論説
- コロナ禍のフードロス・フードウェイストに関する論説
- インフレの原因と抑制策について述べた論説
- tiktokが日本で流行るまでの過程
- 成人年齢引き下げに関する論説
- 3Dプリンターの活用法に関する論説
- スタートアップ精神に関する論説
- 出生率を上げるために必要な政策に関する論説
- 出生率を上げるための政策は必要かについての論説
- ロボットと倫理学に関する論説
- 日本の未婚率に関する論説
お手伝いで来られていたネイティブの先生曰く、最近の大学入試の長文問題は英語のテストというより、大学の授業の課題になっているテーマが多いとのこと。
私が受験生だった30年前の英語は、文法と単語、構文を覚えることが大事。
出題の長文は学術文書的なものが多く、難しい単語や難しい構文の文章をどう読み取るかが求められました。
和文英訳もある意味指示された日本語を英語に直すというものでした。
英検のように自分の意見を英語で書くという問題はほぼありませんでした。
高校の学年順位と合格の目安
各高校から第一志望校群に「現役」で合格できるのは学年のおよそ「上位4分の1~5分の1」という厳しさ。
これは、例に挙げた高校(いわゆる東京神奈川の各地区トップ校)からの大学合格者の分布からの東進のコメントです。
学校のレベルによって目指す大学のレベルって自然と決まるではないですか。
そう考えると、所属する学校において第一志望校群に「現役」で合格できるのは学年のおよそ「上位4分の1~5分の1」と読み替えたら納得いくのではないでしょうか。
高校学習範囲を終わらせるめど
そう考えると、高校3年間と言えども実質的には秋までに高校範囲は履修を終えておく必要があります。
でもそれでは普通は入試には間に合いませんから、先取り学習が必要になってくるという東進の論理です。
英語
東進でのアンケートで、英語の一通り学習が終わった時期を聞くと、2年の学年末までで75%でした。
「英語の一通り学習が終わった」の定義は難しいところですが、単語・文法・構文などの基礎的事項の学習が終わってあとは長文読解や英作文の演習というイメージだそうです。
私もそんな感じでしたし、あまり違和感はありません。
数学
数学について同様なアンケートをしており、理系対象ですが数Ⅲ(微積分)までを2年末までに終えたのは60%。3年の夏休みまでで85%でした。
高校入学組は3年生で数Ⅲを習うので学校のペースに合わせていたら間に合わないということです。
ちなみに難関国公立・早慶を目指す学生は数Ⅲ(微積分)までを2年末までに終えたのは84%。
東大・医学部を目指す学生は数Ⅲ(微積分)までを2年の夏休みまでに終えたのは80%。
この数字の信ぴょう性およびサンプルの偏りをどうみるかだと思いますが、難関校の理系を目指すなら高2末までには終わらせておきたいですね。
ちなみに私は高校に入った1年生の時に独学で微積まで終わらせました。
(考えがあって文系に進んだので入試では微積を使いませんでしたが。)
やる気さえあれば一通り進めることは可能です。
新入試は2年目に難化してきた(平均点が下がる)
過去に共通1次からセンター試験へ、センター試験から共通テストへ移行した2年目に平均点が下がっているという事実があります。
新高2生は新共通テストの1年目なので、新高1生が新共通テストの難化の可能性のある2年目にあたります。
高校での学習の進め方
先取り学習
まずは評定平均!
実は受験勉強を先取り学習すると学校の成績が伸びる!
その理由は、先に範囲を学び終えているので1日の時間を一番長く過ごす高校の授業が復習になる!
時代は英検
時代は英検利用!
英検のスコアがあると2級から多くの大学で追加点制度があるそうです。
さらに準1級のスコアがあれば、有名・難関大学入試で大きな追加点があるそうです。
英検と、新共通テストの難易度は「英検<新共通テスト」というイメージだそうです。
英検は素直な問題が多く、新共通テストはひっかけがあるから。
しかし、英検の勉強が新共通テスト対策にもなるので英検対策を軸に勉強するのは効果的だそうです。
さいごに
自分の受験生時代と様変わりですね。
非常に勉強になりました。
でも時代のニーズに合った試験問題に変わっていくことは賛成です。
なお、この説明会の最後にはiPad1台をかけたじゃんけん大会が恒例らしく、親も参加可能とのことで参加しました。
なんとまあ最後の2人まで残り、高校生の女の子との一騎打ち。
私はiPadを持っているのでもし勝ったらその子にあげようかと思っていたのですが、最後の最後で負けてしまいました。