19343と14297の最大公約数を求めなさい。
と言われたらどう考えますか?
小学校で習うとしたら
1.因数分解をして共通の因数とそうでない因数に分けて考える方法
2.すだれ算を使って考える方法
のどちらかを使って考えますね。
でも、どちらの方法を使って考えるにしても数が大きすぎて難しいですね。
こんな大きな数どうしの最大公約数を求める方法があります。
その考え方を題材としたのが本郷中学2023年の入試問題です。
入試問題は受験生に向けての最初の授業と言われます。
へえ、そんな方法もあるんだって!
この問題をみてわくわくした受験生はどれだけいたかな(^^)/
問4 最大公約数を求める
例として104と39の最大公約数を求める方法を紹介して、19343と14297の最大公約数を求める方法を考えてみましょうという授業がこの入試問題で行われています。
答え:ア19343、イ14297、ウ13、エ5046、オ841
これは「互除法」という数学の考え方を使っています。
塾で解き方だけは習ったことがあるかもしれませんが、この背景にある考え方は整数論で実に深いものがあります。
- m、nが互いに素であるとき、整数x、yを用いて 1=mx+ny と表すことができます。
- m、nの最大公約数をd(d>0)とすると、整数x、yを用いて d=mx+ny と表すことができる。d=1の時①。
いつかは割り切れる時が存在する、それが最大公約数という考え方です。
こんな考え方もあります
19343と14297の最大公約数を考えるとしたときに、
19343と14297の最大公約数は14297と5046(=19343-14297)の最大公約数と同じ。
⇔9251(=14297-5046)と5046の最大公約数と同じ。
⇔5046と4205(=9251-5046)の最大公約数と同じ。
⇔4205と841(=5046-4205)の最大公約数と同じ。
4205は841で割り切れるので841は最大公約数とわかる。
時間がかかり互助法と違って実用的ではありませんが、最大公約数の意味をとらえた方法なのでこのように考えても最大公約数を求めることができます。
この考え方って、新しいようで実は塾で考え方は習っている典型問題の部類です。
線分図を書いたらどうしてこれで求められるかがわかるはずです。
線分図は「くらべる」ことの意味がよくわかる図ですから。
不定方程式
この考え方を発展させると不定方程式を解く考え方につながっていきます。
問3
算数と理科(物理)の融合問題ですね。
理科っぽい問題ですが実際は旅人算の考え方を利用するだけです。
もれなく条件を理解して、自分でダイヤグラムを作成させる意図の問題です。
答え(1)毎分12m、(2)288/11、(3)6.8
(1)は壁BもPがスタートしたと同時に動くことがひっかけになっています。Pが壁Bにぶつかるまで24m動くので(22+2)÷2=12
(2)Pが最初にBにぶつかった後は11m/分になるので22+24/11×1=288/11
(3)壁Bにぶつかった後のPは11m/分で動くので24/11分。
2+24/11+288/11÷10=2+(24+28.8)/11=2+4.8=6.8
さいごに
以前、同じ本郷中学の図形問題の記事をあげています。
本郷中学はなかなか学びのある問題を出題する学校です。
繰り返しになりますが、入試問題は受験生に向けての最初の授業と言われます。
実際のその学校の先生が作成するわけですから。
普段の授業を通じて数学のベースに算数があるわけですから、数学への橋渡しとなるような算数の問題を考えているのだと思います。
実際に入学してみると、普段の定期テストの問題の作成の雰囲気からどの先生が問題を作ったのかが生徒は感覚的にわかるようです。