今回のWBCはダルビッシュや大谷選手が注目されていますが、育成出身の宇田川投手に注目しています。(写真の中央です)
宇田川投手の2種類のフォークがすごいらしいが、なぜ育成からWBCに選ばれたのか?
これまでのサクセスストーリーはどうなんだろうか?
ダルビッシュも認める千賀を上回る2種類のフォーク
変化球はフォークとスライダーの2種類だけですが、三振が取れるピッチャーなのです。
フォークの平均球速141.7キロ、被打率.111
2022年の一軍公式戦のデータでは、身長184センチ、体重92キロの恵まれた体格から投げ下ろすストレートは平均152.2キロ。
全体の約3分の2を占める主武器です。
平均141.7キロのフォークは被打率.111、奪空振率26.5%をマーク。
「お化けフォーク」が代名詞の千賀滉大でさえフォークの平均球速は136.5キロ、被打率.126、奪空振率29.5%です。
宇田川のフォークは「お化け以上」と言っても過言ではないのです。
2022年の奪三振率は、20イニング以上投げた投手で12球団4位の12.90。ソフトバンク・モイネロ(14.87)、楽天・松井裕樹(14.46)、ソフトバンク・藤井皓哉(13.02)に次ぐ数字で、WBCのメンバーにも選ばれているロッテ・佐々木朗希(12.04)よりも高い。
投球回数が少ないとはいえ、三振奪取能力は球界トップクラスなのです。
オリックス宇田川優希のフォークは千賀滉大以上?一軍登板19試合の「シンデレラボーイ」|【SPAIA】スパイア
プロ野球でストレートが150キロ台は当たり前になってきていますが、だいたいは140キロ台です。そうかんがえると、ストレートとフォークの見分けがつかないので恐ろしい武器ですよね。それも落ち方が違う2種類を使い分けられたら。
宇田川はなぜ三振が取れるのか?
松坂大輔氏も驚く落ち幅が2種類ある必殺フォーク
アメリカでもなかなか見ることのできないフォーク。(宇田川が)リリーフで出てきた時に、初見では対応できないボールだと思う。国際大会では武器になると思っている。
(自分も)覚えたかったな、現役の時に
2種類のフォークとは?
宇田川投手は力のある150キロ台のストレートとフォークだけで勝負するピッチャーです。
この球種の少なさでも宇田川が通用しているのは「2種類のフォーク」を持っているからです。
1つは、大きく落ちる通常のフォーク。
これは振らずに見逃せばボールになります。
もう1つは「ストライクゾーンのなかで小さく落ちる」フォークも投げられるのです。
こちらは見逃したらストライク。打者にとっては厄介なことこの上ありません。
2022年の日本シリーズ第4戦
2022年の日本シリーズ第4戦の5回。ワンアウトで3塁に走者がいました。ここで登板してきた宇田川は、この「大小のフォーク」を効果的に使い分けました。
山崎には「大きく落ちるフォーク」で攻めて三振に仕留めると、続く山田には3球連続で156キロ、155キロ、152キロと剛速球のストレート勝負。
山田は3球目をファールにして粘ります。 4球目は、大きく落ちるフォーク。ワンバウンドになり山田は見逃しました。続く5球目が、ストライクゾーンに落ちる「小さなフォーク」で、山田はまったく反応できず三振。
見事な配球で、この回ヤクルトは無得点に終わりました。
2種類のフォークを使うきっかけは?
育成選手としてファームにいたとき、捕手の松井雅人から
『フォークが大きく揺れて軌道が読めないから、ランナーが三塁にいる時には要求しにくい。変化の小さいフォークもあったらいいんじゃない?』
こんなアドバイスがきっかけだそうです。
宇田川はさっそく、フォークを武器にメジャーでも活躍した先輩・平野佳寿のピッチングを研究するなど、いろいろ試行錯誤。
努力の末、ストライクゾーンからストライクゾーンに落とす技術を身に付け、2022年の7月末に、支配下登録と1軍昇格を勝ち取ったのです。
フォークが世界に対してなぜ有効なのか?
2種類のフォークを操る右腕。
1.ストライクゾーンに小さく落とすもの。
2.落差が大きく、空振りを狙うもの。
かつては野茂英雄や佐々木主浩、近年でもエンゼルス・大谷が成功を収めたように、フォークはメジャーリーガーを含めた外国人打者を苦しめるので有効なのです。
WBCキャンプ中でも進化中
宇田川会の効果?
ダルビッシュ氏を中心に宇田川会がいい雰囲気を作ってくれているので本来の持ち味を出せるようになってきているようです。
【宇田川会】ダル、朗希ら侍J投手陣の集合写真 あまりにも雰囲気がよすぎる撮影の裏側pic.twitter.com/cU8rA5s6uR
— ライブドアニュース (@livedoornews) February 23, 2023
2/25ソフトバンク戦
ソフトバンクとの壮行試合で自己最速を更新する160キロのストレートで見事な火消しを見せた。
7回2死一、三塁のピンチでマウンドに上がった宇田川は、ソフトバンク正木の3球目に自己最速となる160キロを計測。さらに4球目にも160キロの速球を投げ込み、正木を空振り三振に打ち取った。
150キロ台後半の力のあるストレートと2種類のフォークが武器だ。
侍ジャパンでさらなるレベルアップを果たしている。
宇田川優希投手の育成からWBC選出まで
宇田川投手のプロフィール
名前:宇田川 優希(うだがわ ゆうき)
生年月日:1998年11月10日 – )
出身:埼玉県越谷市出身
球団:オリックス・バファローズ所属。投手。右投右打。
学生時代~プロ入り前
日本人の父親とフィリピン人の母親の間に出生。
小学2年生のときに兄の影響で、市内の少年野球チーム「宮本ジャイアンツ」に加入。
越谷市立西中学校時代は軟式野球部に所属。
埼玉県立八潮南高等学校時代は球速143km/h程度で制球に苦しんでいた。
仙台大学では、1年春からベンチ入りを果たし、3年春、秋と2季連続で規定投球回に到達。特に春は、5試合(28回1/3)を投げ、2勝1敗、35奪三振、防御率0.64と抜群の安定感を誇った。大学時代の球速は最速152km/h、平均球速は140km/h中盤を記録。
2020年のNPBドラフト会議
2020年のNPBドラフト会議において、オリックス・バファローズから育成ドラフト3位で指名を受けた。支配下枠指名でない場合は入団を拒否して社会人野球に進むつもりであったがプロ入りを決断した。
オリックス入団後
育成時代
2022年3月に新型コロナウイルスに感染し、10日間の隔離生活を送った間に筋肉量を大きく落としてしまう。これを機に復帰後、肉体改造に取り組んだところ、常時150km/h台中盤の球速が出るようにストレートの威力が増した。
7月にフレッシュオールスターゲームに出場。課題だった制球面などが改善し、同月27日までに二軍公式戦15試合の登板で防御率1.88という好成績を残し支配下登録となる。
2022年日本シリーズでは7戦中4試合に登板し、計5回2/3を投げて10奪三振で無失点、1勝2ホールドの活躍を見せた。
表彰はされなかったもののファンや野球解説者から「影のMVP」と称されていることから今回のWBC選出につながったのだと思います。
まとめ
今回選出されたWBCのメンバーは、ダルビッシュ、大谷氏は当然のことかつてない豪華メンバーです。
その中で選ばれた宇田川選手。松坂氏だけでなくダルビッシュ氏もあのフォークの落ち方にはいいものを持っていると評価しています。
彼にとってとてもいい経験になると思いますし、今回のWBCのキーマンになると思っています。彼の活躍に期待したいです。